古儀茶道藪内流の精神を味わいながら、伝統文化を和やかに学ぶ研究会のご案内です。

古儀茶道薮内流新宿研究会
古儀茶道藪内流新宿研究会のご入会案内

イベント 2020

家元初釜に招待されて

新宿研究会代表 瀬川隆生

2020年1月8日、京都市は寒い日になりましたが。天気がよく、身のひきしまる新春の朝になりました。13時の席に招待状をいただき、家元初釜に行ってまいりました。

古儀茶道藪内流家元では、初釜は毎年、7日から始まり、7日は西本願寺門主のご家族ご招待、8日は藪内家が世話になっている寺院や近しい門徒、門弟を招待、そして9日から一般門人の方々中心の初釜となるそうです。

武家門から入り、談古堂で寄り付きに進みました。僧侶2人と神社の方一人に加え、知り合いの門人らとご一緒させていただきました。新春を飾る干支の軸や置きものに囲まれた中で白湯をいただき、雲脚に移って菓子をいただきました。末富の干支の子を表したきんとんが主菓子でした。

にじり口から露地へ出て、腰掛待合へ移り、延べ段を経て。三畳台目相伴席付き燕庵へ着きました。18名で満杯。家元がご挨拶をされ、濃茶のお点前をされました。暗さに目が慣れない中、色紙窓からの光で、家元の全体像だけが浮かび、一瞬、前に拝見した先代のお姿を垣間見たような感覚になりました。やはり、親子は、それだけ似ているということでしょうか。

正客を務めた大徳寺塔頭老師が絶妙な口調で家元と会話を進め、お道具の話に加えて、懐かしい思い出話と共に点前が進んでいきました。軸は、竹心の「心廣躰胖春」、大蛤の香合、福寿草、紅梅などが植えられた石しょう鉢、釜は金鎚釜(本歌は、利休が金鎚で釜の肩をたたいて破れ釜となった釜)で鐶付きは茄子、初夢の3茄子にあやかって用いているとのこと。私達は奥高麗茶碗、銘慶雲でいただきました。茶銘は、飛雲閣の茶室からとった「憶昔」で、たっぷり量があり、格別のおいしさと一同が口をそろえました。

この後、緝煕堂に移動して薄茶をいただきました。床は林和清の図。鶴を愛し鶴とともに生活したという中国仙人の図。「大黒柱」の花入。香合は干支の子を配した青磁。棚は袋棚で、この棚は子の年だけに用いられるとのこと。誰かが、「袋のネズミ」ですね、と言って笑いが起こりました。

おそらく初代剣仲が師事した竹野紹鴎の道号が「大黒庵」だったことから、その神の使いであったネズミが関係しているのではないでしょうか。なので、ネズミ年には、大黒庵の紹鴎袋棚が使われるのでは、と。

風炉先は千本松の図。炉縁は珍しい竹製。唐物青貝八角盆の菓子器で紅白押物などの干菓子が出されました。茶碗は、縁起がいい恵比寿,大黒の一双でした。福引があり、私は、短冊と末広を頂戴することになりました。引き続き、茶室「亡指」で、先代の奥様からご挨拶があり、祝膳席が用意されていました。これも恒例のようで、奥様が担当されるのも決まっているようです。茶懐石の流れに沿って、正月ということもあってか、煮物椀はおせち料理の献立中心。酒もいただいて、祝膳がお開きになるころには、すっかり緊張も溶けて、大変楽しい春の一日になりました。

(記 瀬川隆生)

東京初釜 (築地本願寺)

1月19日(日) (c.k)

50畳大の広間はシーンと静まり、衆人の耳と目はお家元の手元に集中していた。
令和2年1月19日(日)築地本願寺にて東京竹風会初釜の濃茶席。
大ぶりな茶筅から起こるザッザッという力強い音を聴きながらお濃茶は”練る“ものだとあらためて思う。
お茶を練るお家元の表情は、軽やかで穏やかだ。
この位置からは、お点前の様子が逐一拝見できる。
前室で主菓子(末富の薯蕷饅頭)を頂いたが、皮が懐紙に張り付いて食するのに悪戦して、お濃茶席への移動に後れを取ってしまった。
結果、正客より5客目という高い席に座することとなったのだ。
お軸は紅地に「心廣體胖春」、黄帛紗に真っ白な大蛤の香合、古銅象耳花入れに冬牡丹の重厚な床飾り。
12代竹風が好んだ山雲棚に、真塗手桶の水指が見える。
直口のしつらいが興味深い。
お家元のお点前は、仰々しくなく、気取りのないサクサクしたお点前だと拝見した。
仕覆ほどきも躊躇なくリズミカルに動く指、中柱の釘にひょいと仕覆をかける様は、小気味良い。
こんもりとすくい上げられたみどりの山が茶碗に移される。
ザッ、ザッ、ザッ、…
お湯に馴染んで、より濃厚な深緑色になったみどりが茶筅から洗われる。
ザリッ…
一碗目の練り上がりを告げる音。
お家元の五人さまという声がかすかに届く。
主茶碗の口当たりは、あまりに薄くて滑らかなので、金継ぎ部分ではないかと思わず確認して二口目を頂いた。
程よくまったりと練られた「憶昔」をたっぷり美味しく堪能した。
茶碗は唐津で作らせたという熊川に「アンデスの子(ね)」の出し帛紗、替茶碗は朝鮮の粉引きに「打ち出の小槌とネズミ」の出し帛紗という今年らしい取り合わせだった。


追記

この日は10時前に集合。
まず、薄茶席では12代竹風好みの紅梅棚、色絵銅三人形の蓋置を拝見、そして濃茶席、点心を頂いて回り、最後の立礼席では手造り茶碗一双「恵比寿」と「大黒」、膳所焼青交趾末広形水差などテキストでも紹介されている名品の数々を拝見した。
他にも京都から運び込まれた、見応え揃いの贅沢なお席だった。
解散は、15時前。
前日は都心でもみぞれ模様の寒い一日だったが、当日は寒いながらも、雲一つない晴天に恵まれた心地良い日和だった。
先生は受付係ということだったので、知恵子さんを筆頭に8人での楽しいお席巡りだった。
この度の経験で、敷居が高く思えていたお濃茶点前のお稽古にトライしようと思った。

(文責/CK)

野村證券2020年初釜

2月1日(日)レポート:小松尚子

2月1日(土)青空のなか境内の紅梅が美しく咲き誇る、梅上山 光明寺(神谷町)にて、野村證券初釜が開催されました。
参加者:8名。瀬川隆生、宮下文子、中村良子、松久保忠宏、竹田真理子、小松尚子、mm、ck。

濃茶席

床は風吹不入水洒不着  (「碧巌録」)
大徳寺111世・三玄院開祖の春屋宗園の筆による実に実に貴重なものを拝見させていただきました。水や風を寄せつけない竜や虎のような趙州の姿を詠っているそうです。
壺蘆棚に富士窯で、高取の大海による落ち着いたお点前でした。
正客が瀬川先生ということで、緊張しすぎることなく、とてもいいお勉強になりました。修行の足りない私は、花びら餅をうまく扱えず・・・のびーる君状態と化した求肥と格闘する羽目になり、焦るやら恥ずかしいやらで、貴重なお話があまり耳に入らず、まだまだだなぁと反省することしきり。
高麗堅手茶碗は、なんでも席主のおじいさまが、朝鮮からお運びになったものとか。おおぶりで見事な品でした。そして絶妙な練り具合のお濃茶は、大変美味しかったです。
また、お茶杓は休々斎作のもので、北野天満宮の梅の木を使ったもので献茶の際に配られたものだそう。

薄茶席

床は梅一朶之春(猗々斎)
担当が全員女性とのことで、全体的に柔らかい設えでした。小豆柳に紅白椿(紅唐子と宝珠椿)、24年前初釜での(当たり)干支の香合、宝来屋さんの福梅は、梅花の上にミニ梅花がちょこんと乗っている練り切りで、見た目もお味もとても良かったです。
長板に福の字棗、鶴の絵の水差しは新春らしく、蓋置は「藪内七種」の一つ印材。

立礼席

2階の本堂で、谷口広樹氏による18枚の欄間画(本生譚)、ファンタジックでやさしい光と色合とに誘われるかのような、また包まれるかのような癒しの空間に浸りつつ、末富の美味しい干支の煎餅と干菓子・松葉で美味しい一服が沁みわたりました。残念ながら後方の席だったので、色紙箱のお点前はよく拝見できませんでしたが、お茶碗もいろいろで、前列の方の裃をつけた鼠のお茶碗(粟田口焼だそうです)が可愛らしく、とても印象的でした。
猗々斎の短冊で、そしてなんと香合は令和元年10月の即位の礼 饗宴の儀の際に、招待客への記念品ボンボニエール(銀製・菊と鳳凰の模様があしらわれていた)というこれまた大変貴重なもの。古染付(龍の絵)に淡色の水仙と雲竜柳(銀塗)が香合とマッチしていて素敵でした。

(記 小松尚子)

3月~10月

2月の東京竹風会の研修会は中止、3月恒例の「ふれあい祭り」も中止、8月恒例の京都家元夏期講座中止、10月恒例の「ここから祭り」も中止、東京竹風会総会茶会の中止が発表されました。家元でも、お気遣いくださり、ホームページでは、会員向けに点前講習を公開されました。色々な行事がなくなっても、個人で稽古に励むように、とのことでしょう。大変ありがたいことです。

10月には、珍しい灰形の講習会が京都家元で開催され、新宿研究会から、野口昌美氏が実際に京都家元会場に参加されました。多くの会員は、ZOOM配信により、講習会に参加いたしました。2021年の東京竹風会会築地西本願寺初釜も、すでに中止の連絡を受けております。

ZOOM 藪内流灰形の作り方講習から

2020.秋  瀬川知恵子

●灰

灰を、作るのは亭主の仕事とされる。基本、茶事は心を込めて手作りを旨とし、客を迎えるものである。
準備: 炉縁の下、四隅に懐紙を畳んだものを挟み、炉縁の高さを畳より1.5ミリから2ミリ程度高くする。(懐紙の畳み方は半分に折り、正三角形になるように折る。同じく3回折り、余りは切る。炉縁の四隅にはめる。)

●灰の種類

袱紗灰とは細かい灰で、目の細かなふるいを使う。
あられ灰は大きな粒の灰で目の大きなふるいを使い、番茶や煎茶で湿らせ、色つけ、固まらせる。
瓶に入れて保存しておく。(半年ほど置くことになる)
灰は土用の季節につくるが、これは太陽の一番強い季節だからである。

●灰を作る道具

  • ほうじ茶
  • ふるい(園芸用で良い)目の大きさ、3種類必要。
  • タライ2.3個。
  • 厚手ゴム手袋。(強アルカリ対応)
  • 角材
  • 新聞紙

●灰の作り方

  1. 灰をタライに入れ、水を入れると灰が沈澱するので上澄を捨てる。(少しアルカリを抜く意味もある。)ふるいにかけて粒を分けていく。(あられ灰、袱紗灰)
  2. 真っ黒な焙じ茶を作って色をつけ、灰を湿らせていく。混ぜながら、角材で粒を潰しては茶を入れ、かき混ぜていく。握ってみて形が崩れない程度に均一にしていく。(干菓子の打ち菓子ぐらいの硬さ)
  3. 大きい網目を上に、小さい網目を下に敷いて灰をこしていく。こうすると上下で粒が均一になる。
  4. 水が多ければ、新聞紙を敷いた上に取り、放置しておくと乾く。時間の余裕を持って作ること。

●灰の簡単な作り方

5.6ミリの網を使い、灰をこしていく。残った大きなあられ灰を取り出し、細かい方に、少し入れてかき混ぜまると、全体の見映えが大きく感じられる。入れ方の量により、炉と風炉で調整できる。炉壇下に大きなあられ灰を敷いて量を増すこともできる。 

●炉壇の灰形

細かい灰を使う。

●炉壇の灰を作る道具

  • ハマグリ形灰匙
  • そこ取り、 ハイサジの先だけを取り外し、灰慣らしに使う。
  • 厚手ゴム手袋
  • 焦げ縁(炉壇の四隅保護)
  • 水を入れた霧吹き(乾いた灰を湿らせる)

●考案者

灰形は12代竹風が考案。藪内流特有の灰形のハマグリ形をつくる灰匙がある。古くは2本のハイサジを立てて、その中で固めていた。

●灰の粒

冬は灰の粒を大きくするが、それでも1センチ以内とする。灰山を高くするが、五徳より高くならないこと。広口で大釜かよく使われる。湯をたっぷり入れる
春は灰の粒を小さく、しかし粒状に留めておくこと。小釜、釣り釜、円筒形の釜 透き木釜などが使われる。

●炉壇の灰形の作り方

1. 五徳の高さを決める。(本炉壇)42センチ、37センチ
鉄、銅、他もあるが、本炉壇が最高とされる。

2. 見えない所は底にレンガを敷いて、赤金を入れ、灰を入れて量を増して平らにしていく

3.五徳は炭取を置く位置に親爪をしっかり向ける。慎重にゆっくり入れる。釜を慎重に置いてみる。

4. 釜をかけ、柄杓を置いて、指の第一関節から第二関節の間で柄杓をとれるように、五徳の高さ位置を決める。

●微調整

  • 五徳が炉壇の中心にあるか?
  • 炉壇の中心に釜があるか?
  • 客側から見て、釜の口が平行になっているか?
  • 前後左右が平行か。
    差があるときは、低い爪の下に灰を押し込めて調整する。

5.湿灰を入れて蛤型を作っていく。湿り具合は習得する必要あり。
まずハマグリ灰形を隅に差し込む。四箇所の高さを同じにすること。

6. そこ取りを使って、灰形の中に灰を入れる。そのあと、指で押し込めて押さえる。あまり回数をかさねず、最後は灰匙で整える。ポイントは山の稜線をきちんと出すこと。蛤型に表裏が膨らんでいるように作る。縁に灰が来るぐらいにする。五徳の爪がない所から始める。

7.灰匙が届かないところは指で作業する。最後は手で調整する。

8.ハマグリ灰形を少し前に倒すようにして、静かに上に抜く。残った灰の湿り加減をみて、霧吹きで湿らせる。

9. 最後に微調整。灰匙の背を使い、灰形との段差を平らに撫でる。四隅を同じ高さに整える。

茶事の場合と稽古では底の高さに違いがある。茶事では底を深くする。炭手前も深めに。予備の炭を入れてみて調整する。
炉用は五徳の爪から火床まで10センチ程度が一般的な稽古用である。

10.最後に左巴(ひだりともえ)といって、灰に(の)の字をかき、空気の流れを作る。

-2020年を振り返るー

研究会事務局 瀬川知恵子

2019年11月ごろから中国大陸で始まったというCovid19という世にも稀な世界的流行性疾病は、年度中、猛威を振るい、人々を奈落の底につきおとしました。師走に入り、一年が終わるというのに、勢いは衰えるどころか、第3波となって、むしろ悪性を強くして、世界中にはびこっています。一年延期になった東京オリンピックも、どうなるものやら、開催さえ危ぶむ声が高くなってきました。

コロナ禍、真っただ中でも、古儀茶道藪内流新宿研究会は、四谷区民センターが茶室を提供してくださる限り、できる対策に万全を期して稽古を続けてまいりました。不安と心配が渦巻く今、心を静め、一服の茶に集中する茶道の修行が今こそ生きてくるように思いました。もともと茶道は静けさの中で進められるもので、おしゃべりは少ないのですが、不安は常に付きまといました。
稽古は一日、三回制。9時~12時の稽古後、一旦退出。区民センターの職員による消毒と換気が入りました。13時~15時までの稽古後、退出。消毒、換気作業。17時半~19時半稽古。というスケジュールで毎回が進められました。必ず、近親者、知人に感染者が出ていないかを確認し、手指を消毒することから稽古は始まり、茶室内には代表を除いて2名までを原則とし、見学者は躙り口にすわって、あるいは窓越しから、茶室を覗くスタイルになりました。

濃茶は一客一亭形式で、菓子器も銘々皿を使用、自服を希望する場合もありました。もちろん、全員マスク着用。お茶を飲むとき以外は、マスク越しの会話、それもなるべく1m以上を開けて座っておりました。ずっとマスクのままで稽古は進んでおりますので、お茶が点てられたときも、マスクの上からお茶を頂きそうになり、慌てて外す人がなんと多かったことでしょう。コロナゆえの笑いも絶えませんでした。

こういう事態の中で茶道稽古は成立するのか、と会員の参加を心配しておりましたが、毎回、10名の方々が時間を分けて稽古に通われ、2020年を恙なく終えることができました。ご参加いただいた方々の勇気に感謝申し上げます。指導する代表も、皆様から応援を得た気持ちがしたようでした。
今年は、風炉、炉とも、薄茶、濃茶の運び出し、山里棚、雲脚棚の点前、長板棚の点前、菱飾り点前、一つ置き点前、唐物茶入れの扱いと点前、台茶碗、天目茶碗の扱いと点前、釣瓶水指の扱い、名水点て、筒茶碗と絞り茶巾、寒中点前と袱紗扱い、包み棗、包み茶入れ、袋棗、茶桶点前、炭手前、拝領羽箒、拝領香合、二段棚.三段棚の扱い方、蓬莱茶箱、長緒、茶筅飾り、略盆点前、色紙箱、繰り込み相伴、仕込み相伴、諸飾り点前、平茶碗の扱い方、
また、3月の特別授業では、茶事の懐石の流れに特化した稽古を、実際に使われる懐石道具を使って、亭主と客側を交互に入れ替えて稽古をいたしましたこと、ご報告いたします。
新宿区四谷区民センターの窓から外をみれば、本当に美しく、平和な展望が広がっています。

来年こそ、静かな、安全な、そして元気な日本が戻ってほしいと思います。また、笑いの絶えない賑やかな新宿研究会の稽古風景が戻るでしょうか。
私事ですが、茶席の和菓子を極めたいと思い、和菓子学校のエキスパートコースに通いだしました。料理学校の先生にご指導いただくのは、本当に勉強になります。福屋製の和菓子に、そのうち、進歩の跡が見られるかもしれません。
来年も皆様にとって、幸多き一年になりますように願っております。また、ご一緒の時間を楽しめますように。

(事務局 瀬川知恵子)